小堀酒造店「アズールレーン×加賀梅酒 五年熟成」
- 各種ミネラルや栄養素を豊富に含み、食欲を増進させるだけでなく、上品な香りがアロマセラピーの効果をもたらすという梅酒。健康志向の社会性と相まって、最近では酒蔵が手がける梅酒は珍しくないが、石川県にある小堀酒造店の「加賀梅酒」は別格だ。
―――酒蔵としての歴史は江戸後期まで遡るとのことですが、梅酒を始めたのはいつからなのでしょう?
小堀氏「1990年代に入ったくらいからですね。私が子どもの頃から商品化の研究はしていましたが、地元百貨店からの引き合いを機に商品化したと聞いています」
――老舗の酒蔵 が手がける梅酒というだけでも期待ですが、「加賀梅酒」にはどんなこだわりがあるのでしょう?
小堀氏「使用しているのは北陸原産の〈紅映:べにさし〉と呼ばれる梅です。最初は金沢周辺の生産農家にお願いしていたのですが、需要が急増したのもあって、今は福井県の産地から取り寄せがメインになっています」
――梅の種類は重要なのですか?
小堀氏「開発時にいろいろな種類の梅を試して、試飲会を開きましたが、味や色味、風味のすべてで〈紅映〉がもっとも良いとの結論になりました。それからは〈紅映〉一本です」
北陸を産地とする〈紅映〉は、豪雪のために木が大きくならず、寿命も短いという。その分、同じくブランド梅として有名な紀州南高梅の半分しか収穫量がないが、この厳しい環境に耐えて育った梅の実は、果肉歩合は生産品種 の中でトップの93 パーセント、果皮が薄くて水分割合も多いため、果肉に果汁をたっぷりと含んでいて、梅酒に理想的とのこと。
――そんなに繊細な梅を扱うとなると、苦労も多そうですね。
小堀氏「気候に左右されやすいのが梅の泣き所です。梅の雨と言うように、梅の実の収穫は梅雨時期の約一カ月に集中します。鮮度が勝負なので、収穫した梅は即座に蔵に運ばれてきます。これをすべて真水で磨いてから、ヘタ取りをしなければなりません」
――すべて手作業ですか?
小堀氏「手作業です。ヘタを残した梅の実を漬け込むと、どうしても雑味が出てしまいます。だから短時間でいかに大量の梅を処理するか、収穫時期が主戦場ですね」
――梅以外にはどんなこだわりがありますか?
小堀氏「ホワイトリカーと氷砂糖には、流通しているなかでも最高品質のものを選んで使っています」
――梅酒は家庭でも作れますが、〈紅映〉が手に入れば、家庭でも「加賀梅酒」が作れてしまうのですか?
小堀氏「酒税法もあるので、ご家庭で入手できる材料で同じものとはいきません。またこれは以前、別の 酒蔵 さんが〈紅映〉で試作されたそうなのですが、同じ味が出なかったとのことでした。弊社では梅を磨く水から濃度調整まで、白山の伏流水である井戸水を使っているので、水の違いが大きいと考えています」
小堀酒造店がある白山市鶴来の地は、古くから手取川水系の伏流水に恵まれ、その水が生み出す酒は「加賀の菊酒」として知られてきた。小堀酒造店の日本酒は加賀で他に使用している蔵がない希少な酒米を使用しているとのこと。そのこだわりが梅酒にも存分に注がれているのだ。
――今回の「アズールレーン」とのコラボレーションについては、どのようなご感想でしょう。
小堀氏「まずは新展開のきっかけになったことに感謝しています。コラボレーションと言っても、食の方向とは違うデジタル、それも携帯アプリゲームのキャラクターとお酒のコラボは想像していませんでした」
ANAのアメリカ線や新幹線グラン・クラスのサービスドリンクに選ばれ、2013年のノーベル賞主催晩餐会ではノーベルナイトキャップにも採用されて好評を博した。その秘訣は、素材へのこだわりと、加賀の名酒を育んできた水にあると話す小堀社長。梅酒は熟成させると琥珀色になるが、梅の実に由来する澱もでてしまう。だから市販の梅酒の多くは着色された容器を使用するが、「加賀梅酒」は色の変化こそが魅力ととらえ、敢えて透明なビンにこだわっている。その姿勢を「愚直」と自重される小堀社長だが、このまっすぐな姿勢が、日本のみならず、海外にもファンを増やし、多くのリピーターを得てい る真の秘訣なのだろう。
――「加賀梅酒」と「アズールレーン」のコラボレーションは2度目となります。最初の成功が今回の5周年企画に繋がったのですが、「アズールレーン」のファンの皆さんに一言お願いします。
小堀氏「日本でのサービス開始から5周年とのことで、弊社も「加賀梅酒 5年熟成」をコラボ商品に選ばせていただきました。梅酒は好みに合わせた自由な使い方ができて、食事を引き立てる素晴らしいお酒です。そんなカジュアルなお酒でありながら、豊潤な風味がたっぷり詰まっているベストな状態がこの「加賀梅酒 5年熟成」です。ゲームと一緒にまったりと愉しんでいただければと願っています」